【ここカラダ ドクターインタビュー】
落ち着きがなく、じっとしていられない子。よいところをのばすためにも心配するよりまず相談を!
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教えて先生!ここカラダ ドクターインタビュー ADHD編
落ち着きがなく、じっとしていられない子。よいところをのばすためにも心配するよりまず相談を!

「うちの子、いつも落ち着きがなくて忘れ物も多く、学校でも叱られてばかり…」そんな子育ての悩みを持つ保護者の方がいます。それはしつけや努力が足りないせいではなく、発達障害のひとつ、ADHDが原因なのかもしれません。お年寄りや動物に優しい、集中すればズバ抜けた才能を発揮するなど、よいところもたくさんあるADHDを持つ子どもについて、東京都立小児総合医療センター顧問 市川宏伸先生にお聞きしました。

Q1,ADHDとは?

A1,脳の機能がうまく働かない「発達障害」のひとつです。

ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は「発達障害」のひとつで、米国ですと学齢期の約3〜7%の子どもたちが持つとされています。不注意さや衝動性、多動性が特徴で、同年齢の子どもと比べて極端に落ち着きがないなど、日常活動や学習に支障をきたす状態のことをいいます。これらの症状は7歳までに見られるとされ、学習障害や不安・気分障害、反抗挑戦性障害など、その他の発達障害を伴う場合も多いといわれています。

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Q2,原因は解明されていますか?

A2,くわしい原因はまだわかっていません。脳の働きのかたよりが関係していると考えられています。

ADHDのくわしい原因はまだわかっていませんが、短期記憶や注意力、感情・行動のコントロールを司る大脳の前頭前野を含む脳の働きにかたよりがあると考えられています。
また、脳の神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンが関係している可能性が考えられています。ADHDを持つ子どもたちは、しばしば「しつけのできていない子」のように誤解されますが、親の育て方やしつけが原因ではありません。

Q3,症状や特徴、あらわれ方の傾向にはどんなものがありますか?

A3,「不注意」「多動性」「衝動性」が主な症状です。「不注意」が目立つタイプ、「多動性・衝動性」が目立つタイプ、「混合」タイプの3つがあります。

ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動性」が主な症状です。
「不注意」は、集中力が続かない、気が散りやすい、忘れっぽい、「多動性」は、じっとしていることが苦手で、きわめて落ち着きがない、「衝動性」は、思いついた行動を考える前に実行してしまう、がまんができないといった特性です。
症状のあらわれ方は大きく、「不注意」が目立つタイプ、「多動性・衝動性」が目立つタイプ、この2つの「混合」タイプの3つに分けられ、最も多いのは「混合」タイプです。
次に多い「不注意」が目立つタイプは女の子に多く、多動性・衝動性に比べると教室内などで大きなトラブルになることが少ないため、子どものころには見逃されてしまい、本人の努力不足や能力不足などと誤解され、大人になってからわかる場合もあります。「多動性・衝動性」が目立つタイプは男の子に多い傾向があります。

  • 不注意
  • 多動性
  • 衝動性

Q4,ADHDを持つ子どもたちが抱えやすい問題とは何でしょうか?

A4,周囲の理解がなく注意をされるばかりだと、その子にとって否定的な循環になることがあります。

ADHDを持つ子どもたちは、同じ失敗を繰り返し「努力が足りない」「しつけができていない」などと誤解されやすい面があります。注意され続け、その刺激で感情が抑えられなくなり、また注意されるという悪循環に陥ってしまうのです。このように、否定的な評価を受け続けることにより、劣等感が強くなって自暴自棄になり、学校などで孤立したり、反抗的になったりといった二次的な問題に発展してしまう場合があります。

Q5,ADHDを持つ子どもの治療にはどんな方法がありますか?

A5,環境調整、ペアレント・トレーニング、ソーシャルスキル・トレーニングなどの教育・療育的支援(薬物によらない治療)と薬物療法があります。

例えば、教室の一番前の席に座って不要な刺激を視界に入れない、がまんが出来ないときにクールダウンできる静かな場所を確保するなど、過ごしやすい生活環境に整える「環境調整」、子育てへの自信を失いがちな保護者に向けた「ペアレント・トレーニング」、社会生活に必要なスキルを子ども自身が学ぶ「ソーシャルスキル・トレーニング」などの方法があります。学校においては、補助教員を活用した「チーム・ティーチング」も効果があります。
子どもには場面ごとにどうしたらよいかをわかりやすく教えることが大切です。ただ「ダメ」と叱るのではなく、どう言ったらお友達が喜んだのか、など具体的に伝えることです。
薬物療法については、その子の状態により長期的な観点、メリット・デメリットを鑑みて、有益性が高いと判断された場合に用いられます。

Q6,「うちの子はADHDでは?」と心配になったら、どこに行けばよいでしょう?

A6,地域の各窓口に相談してみましょう。 病院ではお薬による治療や、専門施設ではペアレント・トレーニング、ソーシャルスキル・トレーニングなども行われています。

まず、一人で悩まずに地域の保健センターや、児童相談所、かかりつけの小児科医、総合病院の小児科、発達障害者支援センター、学校の窓口の先生などに相談してみましょう。
ADHDの診断・治療は、小児神経科や児童精神科などで行っています。診断では、日頃のお子さんの行動のほかに、生まれたときからの成育歴や家族歴などについて聞かれるので、受診するときには事前にまとめておくとよいでしょう。
ADHDの治療で最も重要なことは、保護者・家族・教師の正しい理解と学校や家庭での正しい対応です。よって日常の教育・療育的支援が基本となります。
現在使用が認められているお薬は、脳内の神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンに対し薬理作用を持ち、不注意、多動性といった症状を改善し、衝動性もある程度抑えられると考えられています。2つのタイプがありますが、効果持続時間や効果発現期間など異なる特徴を持っているためお子さんにより適した薬剤が選択できます。
お薬はADHDを根本から治すものではありませんが、症状が改善することで、叱られる場面が減り、ほめられたり、成功体験が増えてやる気が出たりと、自分に自信を持てる機会が増え、よい循環につなげる一つの助けとなります。勉強や社会性の習得など、家庭や学校生活の中で成長できる貴重な機会を失わせないことが大切です。

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◆お話を伺ったのは…  市川 宏伸(いちかわ・ひろのぶ)先生
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東京都立小児総合医療センター 顧問
北海道大学医学部卒業。
東京医科歯科大学医学部付属病院研修医、東京都立梅ヶ丘病院医員、東京都東村山福祉園医務科長、東京都立梅ヶ丘病院院長を経て、2010年より東京都立小児総合医療センター顧問に就任。

医学博士(東京医科歯科大学)、薬学修士(東京大学)、東京医科歯科大学医学部臨床教授、東邦大学医学部客員教授、日本児童青年精神医学会 常務理事、自閉症スペクトラム学会 理事、日本司法精神医学会 理事、日本学校メンタルヘルス学会 理事、日本自閉症協会 理事、JDDネット 代表、日本AD/HD学会 理事長。

提供:日本イーライリリー株式会社

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